親が元気なときにお葬式のことを聞くのは不謹慎かもしれない…という戸惑いは誰しも持っている気持ちです。
終活といえば、アラフィフ、アラカンの私たちは今どき当たり前のこととして受け入れられることですが、親世代になると聞きなれない言葉にまだまだ抵抗感を持つかもしれません。『早く死んでほしいと思ってるのか!!!』なんて険悪な雰囲気になることも…
しかし、いざというときは突然やってきます
そんなときに後悔しないために、『親が元気なときに希望を聞いておくこと』が大切です。結局、それが親孝行につながります。思い立ったとき、今から行動することをおすすめします!
うちの家族は、生前、父に遠慮して希望を聞けませんでした。最後は認知症を患っていたので意思疎通ができませんでした。どんなお葬式にしたかったのかちゃんと父に聞いておけばよかったとつくづく思いました。
終活の中でも、ここでは『お葬式』に関することにテーマを絞って、実際、葬儀を終えた私が『生前に聞いておけばよかったと後悔したこと』について3つのポイントをまとめました。
- 交友関係を整理することで、葬儀に呼びたい人のリストが作れる
- お寺や宗派を知ることで、葬儀の段取りがスムーズになる
- 葬儀の希望を聞くことで、事前の段取りがはかどり、意向を反映することができる
交友関係を整理する
親がどんな人とどのくらい親しくしているのか、交友関係を把握するのは難しいことです。しかも親元から離れて暮らしていて年に数回しか会わない間柄であればなおさらのこと。普段から電話で話している母ならまだしも父親のお付き合いは未知の世界です。だからこそ、元気なうちに交友関係リストを作ることが大切です。
- 名前だけでなく、電話番号、メールアドレスなど連絡先を記載すること
- お葬式に参列してほしい人を確認すること
- 葬儀後に連絡だけしてほしい人を確認すること
友人リストを作る
親しくしている人、今は疎遠になった人、シニア世代になればさまざまな交友関係があることと思います。また時間とともに人間関係がシンプルになっていくこともあります。
親しくしていても近所の人だったり、いつも顔を合わせている人は意外と名前や連絡先を知らなかったりするので確認が必要です。
- 現在、親しくしている人
- 年賀状、メールなどでやり取りしている人
- 以前、お世話になった人
親戚リストを作る
親世代は兄弟、姉妹が大勢いるケースがあります。父母が亡くなっているシニア世代の場合、親戚や兄弟で集まる機会はどんどん減っています。付き合いの薄い兄弟や親戚もいるかもしれませんので、関係性について確認が必要です。
うちの父は10人兄弟でした。兄弟姉妹、配偶者たちの現状把握するだけで大変でした
- 兄弟、姉妹(それぞれの配偶者)
- 近い親戚と遠い親戚
- 親戚の慶弔記録の確認
会社関係のリストを作る
シニア世代は退職後、何十年とたっているので、同僚・上司・部下で付き合いが続いている人は友人になっていることと思います。しかし定年退職まで勤め上げた人が多い世代でもあるので、退職後の会社関係のつながりについても確認する必要があります。
- 会社のOB会に所属しているか
お寺について確認すること
なんとなく仏教であることはわかるんだけど……多くの人たちがそんな認識でしかないのではないでしょうか。私も田舎の本家のお墓はあるけどまったく付き合いがないし、離れて暮らしているうちとはどんな関係かわからないという状態でした。しかしお葬式を行うためには『お寺のこと』について聞かれることが多々あり、重要ポイントなので確認必須です。
普段はまったく意識しないで生活しているから、お寺のことは知らないことばかりでした
- 菩提寺があるか否かで葬儀の相談先(依頼)が異なる
- 宗派によって僧侶、葬儀の作法が異なる
菩提寺について
必ず葬儀会社に聞かれることが、『菩提寺(普段つきあいのあるお寺)があるか』です。
菩提寺とは、先祖のお墓のあるお寺のことです。
菩提寺に対し、檀家とは特定のお寺に属し、葬祭や供養などを専属で行ってもらう代わりに布施として経済支援している家のことです。
檀家である場合、菩提寺との関係上、宗教儀礼に関してはすべてその宗派の作法に則り、営まれることになります。ということは、葬儀を行う場合、まず菩提寺に相談する必要があります。
お寺と付き合いがない場合は、葬儀会社と相談しながら葬儀内容について決めていきます
宗派について
必ず葬儀会社に聞かれることが、『宗派はどこか』です。
葬儀はぞれぞれの宗派の作法に則った形で進められます。
菩提寺はないけど、父母方の実家の宗派で葬儀を行いたいというケースが多いのではないでしょうか?
そんなお寺と付き合いがない場合でも、葬儀会社からお坊さんを手配してもらうことができます。
仏壇を買うときにも、宗派を聞かれました
葬儀について意向を聞く
なかなか切り出せないことのひとつに『葬儀のこと』があります。どんな葬儀にしたいか希望を聞いておくのは本人のためだけでなく、葬儀を行う残された家族のためでもあります。実際、亡くなったときには葬儀について様々な決断を素早くする必要があります。判断材料に故人の意向を反映させることができれば家族の負担も少なくなります。
葬儀後に、何が正解だったのかモヤモヤを残さないために本人の意向を聞いておくのは大切!
- 日常の中で、さりげなく葬儀への想いやこだわりについてヒアリングすること
どんな葬儀にしたいのか
『死んだら家族に任せる』という人もいるかもしれません。でも『大勢の人たちに囲まれた盛大な葬儀にしてほしい』のか『身内だけでアットホームな葬儀がいい』のか、それとも『お葬式はなしでいい』のかでは、葬儀のスタイルが大きく変わります。それぞれの希望に沿った最後のお別れをするためにどんなお葬式にしたいか、本心をヒアリングすることが大切です。
遺影に使いたい写真を選ぶ
写真はプリントでもデジタルでもピントが合っていれば、葬儀会社が遺影として加工してくれます。
アルバム整理をしながら本人が気に入った写真を候補にあげるのをおすすめします。
父が定年退職したころのまだ現役感がある写真を家族で選びました。母の希望は父らしさが出ているボランティア姿の写真がよかったのですがややピンボケだったので却下されました。時間があれば加工修正できるのかもしれませんが、さしせまったお葬式のときは難しい状況なので、事前に決めておけばよかったなと思いました。
こだわりのものを知る
故人の好きだったこと、好みや趣味嗜好をお葬式に反映することができます。もちろん葬儀の形式によっても異なりますが、どんなことができるのか葬儀会社に相談すると意外と対応してくれることが多いかもしれません。
- 斎場で好きだった音楽を流す
- 好きだった食べ物をお供えする
- お棺の中に気に入った写真、手紙、お菓子などを入れる
- 好きだった花を飾る
まとめ
親に終活をすすめることは大変なことです。とくに死を連想する葬儀について話をするのは気が引けてしまい、親も子もどうしてもネガティブになってしまいがちです。しかし事前準備をするかしないかでは、残された家族の負担が大きく変わります。
確認すべき3つの大切なことは、
- リストを作成するために交友関係を整理する
- 葬儀の準備をすすめるためにお寺について確認する
- 満足するお葬式をするために葬儀について意向を聞く
同居している家族がいれば日頃からさりげなく聞いてみたり、帰省のときをきっかけに家族で話題にしてみたりして、いざというときのために終活ムードを作っておくことをおすすめします。また、親の終活は子ども同士(兄弟姉妹)で情報を共有することが大切です。
お葬式の事前準備は、最後のお別れのときにみんながよかったなと思えるお葬式をするためでもあります。